野鳥の森のほとり辺で 4
novel
生駒山系と矢田丘陵の二つの山並みが南北に添うように走って大阪平野と奈良盆地を隔てている。その二つの山並みの谷間を万葉集で名高い竜田川が流れている。かつては「浄土真宗の谷」とも呼ばれていた地でもある。しかし今では、私鉄が開発した瀟洒な住宅地となってゆとりのある戸建ての家で埋めつくされている。その矢田丘陵側の山肌にそって、奈央子の家は建っていた。丘陵の西側の斜面は、水分が多く冬は底冷えがした。十一月の終わり頃から三月一杯迄、昼過ぎには必ず暖炉に火を入れた。薪は、山を切り開いて造成している現場でもらった。毎年どこかで山は切り開かれていて、声を掛けるといつも気軽にもらえた。そして、車のトランクに積めるだけ積んで何度も往復するので奈央子の車のトランクは、木屑だらけだった。おかげで奈央子は、薪には贅沢ができた。チェーンソーで木を切るのも楽しい作業だった。夏の終わり頃から集め始め、秋が深まると家族で木を切る作業をする。晩秋の穏やかな陽を浴びながら、浩一と幸也が様々なハーブの生い茂る庭で代わる代わる汗を流す。この作業を浩一も幸也も楽しみにしていて、家を建てて以来毎秋繰り返されてきたのだった。
奈央子は、そういうふうに薪を入手していたので、様々な木を薪にした。そのお陰で木の種類によって燃え方に違いがあることを始めて知った。叉、裸火のある生活を経験するようになって、やっと浩一がかつて呟いた言葉を理解できるようになった。裸火が身近にある生活は奈央子にとっても、快適なライフスタイルをもたらした。
その年は、櫟や樫などの身の詰まった重量のある木が多く手に入った。こういう木は、水分が抜けるのに時間がかかる。しかし一旦暖炉へ入れると、穏やかな火を長く燃やし続けるのだった。杉や檜のように真っ直ぐな清楚な火を挙げ、瞬く間に燃え尽きるのではなく、気長にトロトロと燃えるので、見ている人の心も自然と落ちつくのだった。そして暖炉の中で燃える木の炎を見ていると、何故か人は無口になる。 続く・・・・・
奈央子は、そういうふうに薪を入手していたので、様々な木を薪にした。そのお陰で木の種類によって燃え方に違いがあることを始めて知った。叉、裸火のある生活を経験するようになって、やっと浩一がかつて呟いた言葉を理解できるようになった。裸火が身近にある生活は奈央子にとっても、快適なライフスタイルをもたらした。
その年は、櫟や樫などの身の詰まった重量のある木が多く手に入った。こういう木は、水分が抜けるのに時間がかかる。しかし一旦暖炉へ入れると、穏やかな火を長く燃やし続けるのだった。杉や檜のように真っ直ぐな清楚な火を挙げ、瞬く間に燃え尽きるのではなく、気長にトロトロと燃えるので、見ている人の心も自然と落ちつくのだった。そして暖炉の中で燃える木の炎を見ていると、何故か人は無口になる。 続く・・・・・





