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タグ「移植待機、心臓病、心臓移植手術、国立循環器病センター」が付けられているもの

社会にかかわり続けることが闘病の大きな力に ある移植待機者を訪ねて-------------------------------------------(記事抜粋) 晴れ渡った気持ちのいい青空の下、吹田市にある国立循環器病センターを訪ねました。様々な循環器病治療を手がける医療施設ですが、とりわけ心臓移植手術においては、国内最先端の医療機関として知られています。そのため病室には臓器提供を待つ心臓病の患者が全国から集まり、入院生活をしています。その中のひとりであるI氏を訪ねてみました。平成4年に30代の働き盛りの彼を突然襲った心臓病。病名は拡張型心筋症という難病です。仕事はもちろん、数多くの自由を奪い去りました。それを取り戻すために選択したのが、心臓移植の待機者という道でした。  臓器移植の希望者は日本臓器移植ネットワークへの登録が必要となります。もちろん適応疾患の判別は厳格に行われ、候補として登録されても、ドナーの少ない現状では、長期の待機時間が生じます。登録できなかった人や、待つことができない人は海外での移植手術という選択肢を選ぶケースもありますが、費用面をはじめ、その実現には様々な困難を乗り越えなければなりません。もちろん残念なことですが、待機中に力尽き、亡くなられる患者さんも少なくないのが現状です。幸いI氏の場合、貸与された国内最新の補助心臓との相性も良く、遠く離れた故郷を後にし、サポートハウス親の会(※)が運営する待機者家族の宿泊施設で生活しながら、病院へ日参する母親の励ましもあって、我慢強く時を過ごすことができました。  補助心臓というハンデはあるものの、最低限の日常生活は、ひとりで多くのことが行えます。パソコンも彼が日常に利用できる大事なツールで、同じ病に悩む仲間と励ましあったり、故郷に暮らす友人とのメールのやりとりを行ったり、長期にわたる入院生活の大きな支えとなりました。そんな彼の中で、「パソコンを使って仕事をする」という夢が広がっていきました。移植待機者にとってもっとも辛いのは、ゴールが見えない待機時間を過ごしている間、社会と隔絶されることです。健常者もそうですが、労働は生きることにおいて大きな意味づけ。I氏は、その欠落した部分を、移植待機者でも扱えるパソコンを利用し、埋めることができるのではないかと考えていました。パソコンを使った仕事を受注する移植待機者によるネットワークを構築することによって・・・。  そんな彼に過酷な運命が襲います。体調が悪化し、一時期、待機者リストからはずされてしまったのです。回復し再登録できましたが、移植手術の順位は、振り出しに戻りました。再び見えないゴールを目指して残酷なマラソンを続けなければならないと言います。想像してください。いつ容態が変化するかわからない不安という爆弾を抱えつつ、延々と続く時間の恐怖を。彼の求める仕事というのは、生活の糧ではなく、命の糧なのでしょう。I氏と彼の母親に、励ます言葉も見失い、病室を後にしました。見渡せば、私たちに気付かない草の根が、まだまだあることを再認識させられる取材でした。
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